読書

【感想】佐藤 正午『月の満ち欠け』|はたして純愛と呼べるのか?

アイドルが読む本って気になるので、見かけ次第読むようにしています。

『月の満ち欠け』はRed Veletのイェリさんが読んだと知り、図書館で借りて読んでみました。

この記事では『月の満ち欠け』についての感想を書いていきますが、ネタバレになる話もあるかもしれませんので、未読の人は注意して頂ければと思います。

あらすじ

あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

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それを執着と呼ばずに愛と呼ぶな

え、しんど?結局なんの話??いや、分かるよ。生まれ変わってるんだよね???

RADWIMPS「前前前世」が頭の片隅にチラつきつつ読み進めたら、「怖い」という感想しか出てこなかった。

そもそも、この小説で描かれているのは、愛と呼べるのか?

愛するって何。死ぬって何。

631日の同窓会』を読んだときも「しんど~~~」って思ったんですけど、それは頭を使って疲れたって感じで。『月の満ち欠け』は、ずーんっとしんどくなった、心が。

純愛というより、ここまで来るとホラーでは?

純愛ストーリーとして紹介されてることが多いけど、「結局怖いのはいつだって人間!」タイプのホラーで推していく。

月のように生まれ変わるということ

月が欠けては満ちるように、その命が尽きても愛する人に再び出会うために、生まれ変わりたいものなのか?

『月の満ち欠け』に出てくる「生まれ変わること」って、永久的に続く呪いなんじゃないかなって思った。

絶望的な生まれ変わりは呪い

輪廻転生系の話は嫌いでないのに、この話を怖く思った理由を知りたくて、夫にストーリーを話してみたら「それって、純愛っていうよりは呪いって感じするな」と言ってました。

信じることって呪うことと近い気がする。

人は、自分が信じた結果にならなくても(望み通りにいかなくても)、受け入れていくんだと思うんですが、「るり」は受け入れなかった。

自分の人生を拒絶して生まれ変わった先で、信じた通りになることを願った。

「生まれ変わり」とか「純愛」に苦手意識があるわけではないのに、このお話を読んで綺麗な純愛話だとは思えなかったのは、生まれ変わるときの思いが引っかかるからなのかな。

そして、月の満ち欠けは続いていく

『月の満ち欠け』は、読了後にいろいろ考えたくなる話だったので、感想記事を調べてみた。

そこで、面白いなぁと思う意見を見つけて、この小説の落としどころができたので紹介する。

  • 「るり」が生まれ変わるために何度も死んでいたけど、[ 正木 ]も生まれ変わるために死んだのでは?って意見
  • 最後まで話し合いの場に参加しなかった[ 三角 ]も、「るり」との年の差を埋めて生まれ変わるために死んだのでは?という意見

相手を強く思う気持ちがあったら生まれ変わることができるとすれば、正木にも生まれ変わることは可能かもしれない。

小説内の時間軸では[ 三角 ]と「るり」は親子のように見えるし、現実問題結ばれるのは難しいだろう。

このように考えると、[ 三角 ]も[ 正木 ]も生まれ変わるために死んだのかもしれない。

すると、どうなるか。

近い世代に「るり」、[ 三角 ]、[ 正木 ]が存在することになる。

はじめからやり直しである。

月のように何度も満ちては欠けるように、このストーリーも何度も繰り返すんだ。

いろんな人の人生を借りて。

そこにあるはずの愛が略奪された

ある一定の年齢になって「るり」の記憶がよみがえるわけだけど、「るり」にならずに過ごしていたかもしれない人生を思うと、やっぱり嫌な気分になる。

「るり」を中心とした、とてつもない我が儘によって、ある一人の人生が変わってしまう。

生まれ変わるたびに、いろんな人の人生を乗っ取っていく。

乗っ取られた人はそこで終わりなのに、「るり」の人格は目的が達成されるまで続いていく。

これのどこが「純愛」なんだよ~~~って思って、純愛という語について調べてみたら、なるほど周りを巻き込むかどうかは純愛には関係ないのかもしれない。

私の純愛像と違うだけで。

生まれ変わりって、信じる?

生まれ変わりというものが、現実的じゃないけど、現実的っぽいと思わされるのは、まぎれもなく筆者の力なんだろうな。

ただ、この作品をファンタジーっぽい感じで読み取る人と、現実でもありそうやなって現実よりにほんのり思う人とに分かれそう。

現実的じゃないけど不思議なことってあると思う派なので、私は後者。

だからこそ、純愛話として捉えることが難しかったのかもしれない。

小説ひとつで「ああでもない、こうでもない」と考えるのは中々ないので、そういう意味で読んで良かった本。

胸くそ悪いのは間違いないので、積極的にすすめることはしないけど、読んだ感想を語り合いたい本ではある。

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.emi( @gtbb250 )
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